Feature /竹花 正弘
Photo&Text/dai 
2018年 5月、唐津の街中はイベントで賑わっていた。そんな喧噪と離れ、車で20分程走り竹花さんの窯を久しぶりに尋ねた。
鬱蒼としげる木々と昨晩の雨でぬかるんだ道を抜け、以前来た時と変わらない、静かな仕事場である。
焼き上がったものと、これから焼かれる作品が所狭しと並び、轆轤が一台、一定の竹花さんらしい緊張感があった。
今回、竹花さんの個展のハイライトは新作の斑唐津である。
少量ながら、​種類別に順を追ってご紹介していきたいと思う。
​斑唐津ぐい吞
青の斑点が白をバックに綺麗に、斑模様に散って見える事から斑唐津と言われる。
桃山時代の、コレクター垂涎の斑唐津。
ただ、それはまだ解明されておらず、どのような薬を使ったか、何の木を使ったかが分かっていない。
以前から、そのすっきりとした形に白と青が綺麗に混ざり合う竹花さんの斑は定評があったが、さらに微妙な釉薬の調整を重ね、より深い味わいの見込みが備わった斑唐津が焼き上がった。
フラットに仕上がった見込みに映る青が、どこかくもり空の下の池のような発色をしていて、この明るすぎない、少しセンチメンタルな暗さがとても良い。
自論だが、唐津らしさの一つ要素として、”明るい”より、"暗い"ということが良い事の様に思える時がある。
​唐津の暗さは、ネガティブなものではなく、ポジティブに落ち着いていると言った方がいいのかも知れない。
無地唐津ぐい吞
この無地唐津の立ちぐい吞は、竹花さんの窯場で見つけたもので、おそらく数年前に作られたものだろう。サイズも少し大振りの存在感のある一品だ。
​無地のものは、使い込むごとに貫入が入っていき、色も明るい感じから暗い感じへと変化していく。
まっさらだったものが、まるで別人のように風格ある変化をしていくところも唐津の特徴である。
​茶碗から盃、皿に至るまで日々使い終わったあとに見る小さな変化が焼物好きにはたまらないひと時である。
それを特に分かり易く楽しめるのはこういった感じの無地の唐津である。
​絵唐津茶碗
​絵唐津四寸皿
​絵唐津五寸皿
竹花さんの窯は薪を使った登り窯での焼成で、ひとつひとつ器の表情が異なる。
伸びやかで、スピード感のある絵唐津はこの薪窯ならではの火のまわり具合と相まって古格の唐津の雰囲気を醸し出している。
ここに紹介した絵唐津丸紋の皿は何年も前に竹花さんが制作した作品で、
今回出品するのは初めてである。
こういった抽象的な図柄と、絵唐津五寸皿に見るような草文の図柄と、
古唐津がそうであったように抽象と具体の二面性の作行があるところも唐津の作家らしいところである。
​白磁津四寸皿
白磁も薪窯特有の灰被りが魅力となっていて、1600年代の初期伊万里を意識した形に仕上がっている。
​石を原料としているので、使用するごとの変化はあまり見られないが、焼き上がった時から器の景色が出来上がっているのでこのままの表情を楽しめる。
​とろみのある肌、少しドライな肌など同じ種類の皿によっても様々だ。
朝鮮唐津盃
​伊羅保編笠小鉢
先に挙げた種類の他にも、様々な作品が今回出品される。
伊羅保や、染付の輪線模様、焼〆の急須などなど
これまでの竹花さんの作品を見てきた人も、また初めて見る人も新鮮な印象を持っていただけるラインナップになった。
是非、現代の唐津焼作家の今を体感して頂ければと思う。
​唐津 竹花正弘 新作展
会場 GALERIE AZUR 一番館 東京店
会期 2018年6月2日(土)-10日(日)
作家在廊日 6月2日、3日

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