"巴の文様は乱暴にはずみをつけて描きなぐっている" 『骨董入門』秦秀雄 著 美濃発掘の小皿 冒頭より
Feature /安洞雅彦 志野織部
Photo&Text/dai 
「志野織部のお皿、ありますか?」
「はぃ?」
​名古屋の骨董品店での会話は大体がそういう反応で、どうやら地元ではそういう呼び方はあまりしないらしい。
絵志野の、、あの絵が書いてある茶色の小皿、といえばそこでなんとか通じる。
志野織部というものを知ったのはやはり秦秀雄さんの本だった。
初源伊万里も、志野織部も、どこか東京っぽい言葉で、どちらも地元では浸透していない様だった。
志野織部というのは、17世紀、きれいな織部の向付を焼いていた元屋敷窯、およびその周辺の定林寺窯、清安寺窯、などなど沢山の窯で作られたらしい。
​骨董の志野織部小皿、陶片
碗や片口、そして小皿などいわゆる雑器として沢山つくられた焼物、それが志野織部ということで、いまもたまに骨董屋さんなどで傷物のお皿を見かける事がある。
今回、2017年美濃の安洞さんの個展ではこの志野織部のお皿がハイライト作品になる。
​この民間用につくられたなんでもないような小皿のデザインの中に、とても斬新なものが多数含まれており、それを現代の職人肌な安洞さんに依頼した。
抽象的な、今となってはなかなか手に入らないデザインのもの、という事と、現代生活にあわせた厚み、寸法を考慮し4寸程の取皿にいいお皿が出来上がったと思う。
目跡の付け方や大きさから、高台の釉薬のぬぐい方をラフにしたり、そのラフのし具合までとことん突き詰めて安洞さんには制作してもらった。
今回は、従来資料レベルでしか確認できない図柄はもとより、志野織部にない図柄を制作してもらった。
下の写真のもので、元デザインは初期伊万里の皿である。
​時代もすこし前の九州の焼物ながら、その抽象性とモダンなデザインは2017年の今にとても合っているように思う。
昭和40年代の「小さな蕾」に掲載された、初期伊万里の洒落たデザイン。
秦秀雄さんの、時折熱のこもった文章とともに掲載されている。
左下のお皿は、なんだろう。何となく規則性があって、何かの柄に使われていても良さそうなものだが、右上は右上で、帽子のような、こんな意味のわからない、素敵な絵はなかなかないように思う。
サンプルとして、二枚頂き、自宅にて使わせてもらっている。
​色はモノトーンながら、無地の多い自分の食器のラインナップに少し華やかさが、いい具合のバランスで加わった。
他を探してもこんな皿はない、と思うとただただ、ちょっとだけ嬉しくなる。
 
拘りのある、桃山織部を真っ正面から作っている安洞さんだからこそ、これができたのかも知れない。​
今回の個展ではその他、鳴海織部の新作の鉢や、向付、そしてつい先日窯からあがった瀬戸黒の茶碗などが出品される。
​また今年も、安洞雅彦の世界を皆さんと共有できればと思う。
-​美濃 安洞雅彦 オリベ展-
会期 11月3日(金•祝)ー11月12日(日)
会場 GALERIE AZUR 一番館東京店
            11:00AM-6:00PM
            東京都渋谷区桜ヶ丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル1F
​作家在廊日 11/3,4